【ネタバレ考察】映画「GUILTY」の感想/主人公が犯した “罪”とは

GUILTY ネタバレ 感想“音だけで誘拐事件を解決する”という新感覚のシチュエーションスリラー「GUILTY」。NetflixやU-nextとなどのVODサービスで気軽に映画が楽しめるようになった今まさに”映画館で見るべき”作品でした。こういった作品を待っていた!

※ネタバレを含むので鑑賞済みの方のみご覧ください。

映画「GUILTY」のあらすじ

過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガーは、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処しなければならず……。

映画.comより引用

映画「GUILTY」の感想

映画館で見ないともったいない!この作品は「小説と映画館のハイブリット」だ!

……なんてかっこいいことを言いましたがこの記事ではタイトルの「GUILTY」について深掘りしていきます。

GUILTYに込められた意味:7つの大罪の1つ「傲慢」では

本作のタイトルは「GUILTY」。「有罪の〜」「罪の意識がある」「やましい、後ろめたい〜」といった意味の英単語ですね。今作では大きく分けると3種類の「罪」がピックアップされながら物語が進みます。

  • 女性の誘拐事件
  • ↑の最中で明らかになる殺人事件
  • 主人公が犯した殺人

の3つですね。特にフォーカスが置かれるのは主人公の殺人事件。彼は過去に殺人事件を起こしており、罪の意識に囚われながら生きています。しかし、その最中で彼女に罪を告白すると同時に、翌日の裁判で嘘の供述をしてもらうはずだった相棒に「明日は嘘をつかなくていい」と言います。なのでタイトルは単純に主人公に向けられたものだと考えられます。しかし、私が感じた罪は主人公の傲慢な態度でした。主人公が割と自己中心的な性格で恣意的にそうしているのでは?と感じたんですよね。まさに7つの大罪の1つ「傲慢」そのものだったような。もちろん罪の英語は「sin」なので私の推測は妄想の域を出ないでしょうが。。

その最たるシーンがラストシーン。ラストは以下のような流れでした。

「お手柄ね」という言葉を聞き、呆然としながら通話機を置く主人公。怪訝な表情で主人公を見やる同僚たち(宇宙人でも見ているかのような表情でした)。この空間に存在しているのは自分1人だけといった様相で部屋から出ていく主人公。外に出る直前、主人公は誰かに電話をかける。〜終〜

私はラストにこれをもってきた意味が主人公の難アリな性格を表現していたように感じました。恐らく彼が電話をかけた相手は元妻。元妻に対し「俺は1人の命を救った」と伝え贖罪すると共に、あわよくば復縁を試みたのでしょう。この展開であれば彼が指輪を外していない理由にもなります。

この一連の行為がまさに傲慢そのものではないでしょうか。彼は確かに立派なことをしました。しかし、それを材料に復縁を申し出るのは全く相手のことを考えておらず、不可解で自己中心的。他人の気持ちを省みず、自らの感情の向くままに行動するその姿勢が彼の罪だったのではないか、と感じました。彼の態度が強調されるシーンがそこまであったわけではありませんが、同僚に避けられていたり、PCをぶち壊したりと目に余る部分があったのも事実。タイトルに込めた意味として十分に考えられると思います。

 

「映画館で映画を見る意味」を再定義する作品

今や映画という娯楽はNetflixやHulu、U-nextなどのVODサービスの台頭で自宅や移動中にモバイルデバイスで気軽に楽しめるものになりました。

直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体の35.3%で、2012年から実施する本調査の中で最低の鑑賞率となった。鑑賞率の低下傾向は続いており、映画館に足を運ぶユーザーが減っていると考えられる。

NTTコムリサーチ/第7回「映画館での映画鑑賞」に関する調査より引用

NTTコムのアンケート調査(約3000人・10代〜70代で均等回収)によると映画館に足を運ぶ人の母数は年々減少傾向にあるといいます。まさに”映画館で映画をみる意味の希薄化”を象徴しているアンケート結果だと思います。映画といえば「ドラマでは見られない巨大なスケールで描かれる物語や迫力のあるグラフィック」といったイメージが強いかもしれません。3D映画や4DXなどもその思想に基づいたサービスでしょう。

しかし、この映画はそういった思想の真逆をいきます。情報を最小限に留めることで観客の想像力を掻き立て、それを一番の体験価値として提供しているのです。映画館の価値が揺れている今、まさに映画館の価値を再定義する作品だと思います。ぜひ劇場で見てみてください。

 

映画「GUILTY」の結末

“元夫に誘拐されている”という女性(イーベン)からの緊急電話を受け、事件解決に奔走するアスガー。彼女は2人の子供を育てていたが、調査により一方の赤ん坊が自宅で殺されていたことが判明。

イーベンを誘拐した元夫(ミケル)による犯行だと判断したアスガーだが、調査を進める中で衝撃の事実が明らかになる。

イーベンは精神病を患っており、赤ん坊の殺害も彼女によるものだった。赤ん坊の殺害現場を目撃してしまったミケルは、イーベンを精神病院に搬送していた。誘拐していたわけではなかったのである。トランクに閉じ込められていたイーベンは扉を開けられると同時に積まれていたレンガでミケルを殴打(アスガーによる指示)。さすがに手に負えないと判断し、ミケルは彼女を置いて過ぎ去ってしまう。

アスガーは何の罪もないミケルに凄惨な言葉を浴びせた上に、間接的に暴行まで行ってしまった事実にぼうぜん。悔やんでいるとイーベンからアスガーを指名した緊急電話が来る。電話を手に取るとイーベンは陸橋を上り、今まさに飛び降りようとしている最中だった。

アスガーは自殺を阻止しようと、自身が故意に行った殺人を告白し、必死の説得を試みる。「僕は故意だったが、君は違うだろ」と。説得もむなしく「あなたは良い人ね」という言葉と落下の衝撃音と共に電話が切れてしまう。

自殺を止められず悔いるアスガー。警察にイーベンの安否の確認のために電話をすると、彼女が飛び降りた先は警察が用意したクッションだったことが判明。彼女は生きていた。

「あなたのお手柄ね」という言葉を受け、何を考えているのか全くわからない表情で電話を切るアスガー。周囲の異常な視線を意に介さず、職場を去っていく。

廊下で携帯電話を手に取り、誰かに電話をかけるアスガーのカットで終幕。

このような作品でどんでん返しがないのは珍しいですし、途中で気づいたという方も多いかもしれません。私も途中あたりでなんとなく妻が怪しいな〜くらいの温度感で見てました。元夫が女性による暴行で死んでしまい最悪の事態になるのでは……という展開も想像していましたが、そこまでひどい事態にはなりませんでしたね(笑)。

 

総評:映画の面白さが詰まった作品

専門的なことはわかりませんが、兎にも角にも映画に求められる技術をこれでもかと高い水準で用いて作られた作品だということはわかります。じゃないと90分無名俳優の顔のどアップには耐えられないかと……(笑)。いろいろな感想が湧いてくる作品だと思うので、ぜひ映画館で楽しんでもらいたい作品です!

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